販売に名案奇手はない
1954(昭和29年)年 松下電器の経営発表会で松下幸之助社長が述べられた内容をご紹介 したく思います。
時代は古く感じられるかも分りませんが読んで見てください。
原文そのままに記します。
経営に当たって、最も困難があろうと思われるのは販売について有ります。
製造には新しい発見や発明が考えられますが、販売にはとりわけ妙案の生まれる事は有りません。
他社の販売方策のいずれをとってみても、さして名案奇手と思われるものは有りません。
販売にあたっては、いかにすればお得意様に喜んで頂け、どういう接し方をすればご満足願えるかを考える事に尽きるのであります。
妙案奇策のあまりない販売の世界の中で特色を発揮する為に、何が基本になるかというと、お互いの誠心誠意であります。そして話す言葉ににじみ出る気持ちが、何よりも大切であります。
落語家の噺は、聞いていると面白いのですが、その台本を読んでみると、聞くときの面白味は少しも 味わえません。
販売にあたるのも同様であろうと思います。いかに立派な筋書きを与えられていても
それを味よく先方に伝えられるかどうかは、販売にあたる人がそれだけの訓練をみずから培うか どうかにかかっております。筋書きのちょっとした生かし方にも興味をもって研究すれば、それに成功 すると考えます。
販売に対する基本方針は、いわば筋書きだけであって、それを生かした味は百人百様の現われ方をします。その味は仕事に対する熱心さ、仕事に対決する努力から生まれてくるのであります。
毎日大変暑い日が続きますが、ちょっと一服したときにでも創意工夫は無いものかを考えて頑張って下さい
取締役相談役
前垣 忠雄
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